【江戸雑学草子】 第02回
2003年 09月19日
「はなやよへいは寿司屋でござーい(2)」
寿司屋ののれんをくぐるなり、
「いらっしゃぃー」とか「らっしゃいーぃ」のだみ声の合唱。
威勢がいいっての?
なかには、がなり立ててるんだけみたいな声も聞く。
私ねー、これってこう聞こえる。
「よっ、来たかぁ、早く食ってけーれよー!」
でっかい湯飲みを、目の前にどかんと置かれて、
さー、食いねー!って、結構せわしない。
だから、私はカウンターに座るなり、
職人の目と合った瞬間、
「トロ、イカ、エビ」と連発する。
前に置かれた下駄みたいなのに、それぞれが並ぶと同時に、
「ウニ、穴子、鉄火」
飲み込むようにして、それらを終わらせると、
口をもぐもぐさせながら、
「お勘定!」
お店が空いていりゃ、10分で店を出る。
日本橋には、有名な寿司屋が多いが、
上の下の店で、「トロ、イカ、エビ、ウニ、穴子、鉄火」の八木スペシャ
ルコースで、3000円ではちょっと足らない。
それぞれ、2貫(カン)づつ出てくるから、10個と1本(鉄火はのり巻
き)。これ以上は、お腹が張って、財布も傷むし、この程度が一番良い。
うちの近所に、超高いお寿司屋が2軒あって、どちらもトロが3000円
〜5000円。
おっと、1貫3000円だから、2貫1セットで勘定は6000円だ。
その2軒のうちの1軒の旦那が、
「マスターなら安くするから、食べにおいでよ」と道で会うたびに誘われ
るが、ちょと、引いちゃいますー。
だって、もったいなくて翌日からトイレに行けなくなる。
これ、健康に良くない。
さて、寿司の食べる順番ってあるのか?
日本橋にある老舗の寿司屋の若旦那(まーちゃん)に聞いた。
まーちゃん:光り物からはじめて、卵で終わるとか。
マスター :それが公式な順番?
まーちゃん:いや、たとえ話で、それが流儀だってお客もいるけどさー、
順番なんてないっすよー。
マスター :何でも良いの?
まーちゃん:マグロしか注文しない人もいるし。
マスター :頼むたんびに「マグロ」「マグロ」って?
まーちゃん:ん!好きなもの頼めば良いんです。
なるほど、好きなものをたらふく食ってもらいたいのが、寿司職人の心情
なのだ。
また、箸で食べようが、手でつまもうが、特にマナーはない。
とは言え、寿司屋として、これはやってもらいたくない事を語ってもらっ
た。
まーちゃん:あのさー、寿司ネタをご飯からはがして食べる人ー。
これだけは止めてほしい。
マスター :どうして?寿司にマナーはないんだろ?
まーちゃん:ただ、握りめしを作ってるんじゃないんだって。
ネタのうまさを舎利(しゃり)になじませてんの!
それをはがされちゃ、がっかり。
ほー!寿司職人って意外とデリーケートなんだ。
最後に、粋なお客ってどんなお客?
まーちゃん:そりゃーさー。
マスター :それで?どんな客?
まーちゃん:こう言っちゃなんだけど、好きなもん1万円ほど食べて、
さーっと帰るお客かなー。
ほーら見ろってんだ!それが寿司屋の本音ってやつさ!
ね!私の耳もまんざらでもない。
追伸。
さて、次回もネタは寿司。
えっ、もう飽きたぁ?ですか?
本当に粋な寿司って言うのをご披露いたしますしー。
つきあってくださいまし。
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