【江戸雑学草子】 第05回
2003年10月01日
外郎売り(ういろううり)
芝居を打つにも元手がいる。
役者への給金、道具方、衣装方の出勤から表看板の差配、さらには、小屋
掛けの地代まで、いわゆる支度金が必要だ。
そのお金は、スポンサーを探して出資してもらうわけだが、
「芝居打ちは水もの」と言われ、当たりはずれが多い。
芝居がさかんになった一つの理由に、商業が発展し、そのリスクを負える
スポンサーとしての商人の台頭があったわけだ。
もちろん、芝居が当たれば配当もどっさり入る。
絵島生島事件当時、山村座で、年間7千両のお金が動いたと言う。
山村座の看板役者の生島新五郎は、年700両かぜぎ、
二代目団十郎は、事件以降年千両稼ぐまで人気が出て、元祖「千両役者」
となる。
年千両の収入ってどんなものか?
残念ながら、二代目団十郎の時代の資料は見つからなかった。
ところが、
二代目団十郎の時代から80年後、江戸時代一番栄えたと言われる文化文
政の頃の、話だが、...
月2両あれば中流の生活が出来たと言う。(石川英輔「大江戸生活事情」
講談社文庫)
すると、中流意識の人の42倍という事になる。
ざっと見積もって1〜3億か???(今の中流の年収がいくらかによって
ずいぶん差が出るので、えらく広い範囲になってしまった。)
2002年度の芸能人で一番の高納税額者は、浜崎まゆみで3千7百万(
所得税額)。収入額は、単純に2倍して、7千4百万。
どうでしょう、千両役者の重みがお分かりでしょうか。
映画を見に行くと、最初の10分ぐらい、予告編やダイヤモンドの宣伝と
か、視聴率きっちり100%のコマーシャルを見せられる。
その間「ポプコーンや飲み物を買いに行く時間があるわい」と、うまく時
間を使えば、コマーシャルもじゃまにはならない。
江戸時代の舞台の上でも、コマーシャルはあった。
役者の人気にあやかって宣伝する。
目薬、せんべい、など幕間、劇中で口上を言った様だ。
歌舞伎十八番の「外郎売り(ういろううり)」は、1718年(亨保三)江戸
森田座の「若緑勢曾我(わかみどりいきおいそが)」の劇中劇として、二
代目市川団十郎が初演。
以後、独立した一幕としたり、他の狂言に折り込まれたりして、上演され
ている。
外郎(ういろう)とは、咳や口臭の薬、頂透香(とうちんこう)の通り名
で今でも小田原名物に上げられる。
外郎を、一粒飲むと「ほらこの通り、舌が回る」と早口言葉のせりふは、
文章を見ただけで目が回るが、人の注目を呼ぶに十分な訓練が必要だ。
Googleで「外郎売り」のキーワードでさがすと、せりふを書いた
サイトがいくつも出てくるので、ご興味のある方はアクセスしてみてく
ださい。 http://www.google.co.jp/
ところで、外郎のメーカーである、藤右衛門康祐(とうえもんやすむら)
が団十郎に、口上作成の依頼をしたという記述を見たことがある。(すみ
ません、出典不明)
十返舎一九の「東海道膝栗毛」に、この口上を唱える外郎売りが書かれて
いることからして、これが歌舞伎だけのものでなかった事は明らかだ。
さて、次回はなんのお話にしようかな?将軍吉宗の裏話?三井越後屋のヒ
ット商品?
んーん?迷ってます。
でも、お楽しみに。
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