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【江戸雑学草子】 第08回

2003年 10月22日

鬼平犯科帳

 
 「江戸雑学草子」を書き始めて、えらく筆(?)が遅くなった。

 多いときには10冊ぐらいの本をパソコンの周りに置いてタイプする。

 ついついそれらの本を読み込んでしまう。

 だから、書き始めるのがおっくうになる。


 読者より、作者が楽しんでいる訳だから、本当にお付き合いいただきあり
 がとう存じます。


 さて、八重洲1丁目7番地に「矢満登(やまと)」という料亭がある。

 明治から3代続いた老舗だ。


 こちらの旦那は、日本橋六の部の連合町会々長さんで、その息子さんとは
 仲良くさせていただいている。

 彼は、若旦那で調理師だから、料理の研究も怠らない。


 かれは、池上正太郎の鬼平犯科帳のファンで、本は全編読破し、テレビシ
 リーズもすべて見ている。


 「鬼平犯科帳」で、何が彼の興味を引くかというと、各エピソードに必ず
 出てくる料理の場面だそうだ。


 その中で、彼が一番好きなのが「小エビと三つ葉のかき揚げ」。


 といっても、その原文がどこにあったかまでは覚えていないらしく、それ
 に似た料理の話を、「池波正太郎のそうざい料理帖」平凡社に見つけた。

 でも、小エビでなくて貝柱。

 「小柱(貝柱)も三つ葉も火の通りが早いので、衣に火が通った時が揚げ
 あががりで、くれぐれも揚げ過ぎないように」と、注釈がある。

 さくさくと、歯触りの良さを楽しめそうだ。

 「天つゆか塩で食する」とあり、私はおいしい「最新の塩」で食べたい。


 ところで、てんぷらは油ものだし、ダイエットによくないという人がいる。

 そんな、事はない。

 昨日揚げた残りもののてんぷらは避けたいが、揚がりたてだと、油も新鮮
 だから、脂肪も体内でよく代謝される。


 水や出汁の変わりに油を使うのがてんぷらで、単に調理方法の一つと考え
 てほしい。

 江戸は、上水道は発達してはいたが、遠い羽村から玉川上水で水を引いて
 くるわけで、おいしい水は望めない。

 そこで、調理方法としての天ぷらが流行った。


 屋台の天ぷら屋で竹串に刺した具を衣にからませ、さっと揚げたものを、
 店先で食べる。

 それこそ、小エビ、小魚、野菜を揚げて、ふーふーしながら食べたであろ
 う。

 具の味がしみこんだ衣を想像すると、口の中がつばで一杯になる。


 おっと、鬼平犯科帳から、ずいぶん道がそれたが、鬼平犯科帳のテレビシ
 リーズで料理の監修をした人がいる。

 銀座の「てんぷら近藤」の旦那、近藤文夫さん。

 原作者、池波正太郎さんとじっこんで、神田駿河台の山の上ホテルで修行
 したそうだ。


 山の上ホテルは、出身校のキャンパスに隣接していたから、よくカレーラ
 イスを食べに行った。

 そう言えば、てんぷらコーナーがあった様な?

 しかも、てんぷら近藤の旦那の顔も見覚えがあるような?


 江戸の天ぷら屋は、火と油を使うので、必ず屋台店だった。

 店構えの天ぷら屋も、店の前に屋台を出して、てんぷらを揚げた。

 そば屋のように「振り売り」ではない。


 さて、次号は「振り売り」について書きます。

 って事は、そばのお話でござーいぃ。

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