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【江戸雑学草子】 第33回

2004年01月23日

江戸の医者

 江戸では、医者になるために、医師国家試験などなかったから、

 極端な話、誰でも看板を上げれば医者になれたんですな。


 まぁ、たいていは有名な先生について、

 10年近く修行を積んで、はじめて独立しないと、

 患者も安心して来ないでしょう。


 よくテレビの時代劇に出てくる医者の扮装と、

 実際は違いますね。

 どこが違うかってーと、おつむに髷を結っていない。

 本道医といって、内科のお医者ですが、

 剃髪、つまり丸坊主だったんですよ。


 当時、僧侶に対する戒律は大変厳しく、

 浄土真宗以外は妻帯を禁じられ、女犯(にょぼん)と言って

 女性と交わることも出来なかったんです。

 でも、しょうがないねー、医者に化けて吉原に通ったそうですよ。


   にこにこと 医者と出家が すれ違い


 医者をからかった小話は多いですね。

 こんなのいかがですか。


  「福徳屋万右衛門方から、診ていただきたくお願いにまいりました」

  「ご病人はどなたかな?」

  「はい、若主人様でございます」

  「ご容態をお聞きしよう。食事の方はいかがじゃ?」

  「それが一向に欲しがりませんので、
   ご主人夫婦も気をもんでいらっしゃいます」

  「それはよくない。して、大小便は?」

  「寝たまますまされておられます」

  「寝たままとは、ちと気になるな・・・。で口中息使いの按配は?」

  「とにかく舌が回らず、ただもう、ウファ、ウファ言うだけで、
   何を言っているのやらさっぱり意味が解せずに、ほとほと手をやいて
   いらっしゃいます」

  「それはただごとではない。ところで歳はいくつじゃ?」

  「はい、明日がお宮参りでございます」


               (さとすずめ、安永六年、1777年刊)

             出典:「江戸のこばなし」山住昭文、筑摩書房

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