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【江戸雑学草子】 第46回

2004年04月20日

穴蔵師

 江戸の商売の多様で、驚くほど種類があったそうです。デパートの各売り
 場が、一つのお店という感じです。


 元禄六年(1693)刊の「国花萬葉集」や貞享四年(1687年)刊の
 「江戸鹿の子」がくわしくお店の名前を列挙してあり、それは大変な数だ
 そうです。


 塗物屋、糸屋、本屋、合羽屋、鏡屋、仏具、経師屋、きれ屋、はんこ屋、
 琴・三味線屋、細工屋、水菓子屋、位牌屋、紙屋、染屋、ろうそく屋、刷
 毛(はけ=ブラシ)屋、駕籠屋、唐傘屋、足袋・小間物屋、葛(つづら)
 屋、扇子屋、指物屋、....


 なんでもありです。


 しかし、江戸でも日本橋にしかなかった商売があります。それが穴蔵師
 (あなぐらし)。穴蔵、つまり地下室を専門に作る業者です。


 日本橋の各商店は、江戸の名物「火事」対策に地下に穴を掘って、一旦火
 事が起きると、商品を店頭からその穴蔵に移して燃えるのを防ぎました。


 地上の家屋は燃え落ちても、穴蔵にしまった商品は無事ですから、すぐに
 商売が出来たと言うことです。


 人口密度が高く、木造家屋がひしめく日本橋ですから、一代のうちに何度
 も火事に遭った経験から、穴蔵は生まれました。


 地下のことですから、水がしみこんできますから、穴蔵師は「タタキ」と
 いう独特なコンクリートの様な材料を使い、穴蔵の壁を作りました。


 上にあげた商売のうち、一つ見当もつかないものがあります。
 葛(つづら)屋です。


 葛は、竹で編んだ合わせ籠(かご)の漆(うるし)をかけた物で、雨に濡
 れても雨が中にしみこまず、大変軽くて旅行には便利な物でした。


 日本橋は、東海道をはじめ、五街道の出発点ですから、旅行用品が揃えた
 葛屋や合羽屋がたくさんございました。


            参考文献:「江戸文化史」西山松之助、岩波書店

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